■目次
第1部 ストーリーが人を動かす(取調室でカツ丼を食べる謎
ストーリーはどこからやってくるか
プロフェッショナルのスゴさを「見える化」する
仕事をゲームに変える方法)
第2部 「プロフェッショナル」と「自分」をシンクロさせる(「負ける技術」を身につける
トイレを磨くと儲かるか
プロフェッショナルからの正しい学び方)
■
俳優が行う演技とは、一見無関係な他の職業においても、実は役にのめり込んで「演ずる」ということが求められている。
本書は、プロフェッショナルとして認められるビジネスマンにとって、周囲の期待に応えて、与えられた役割に没頭し、演じきることが大切だと述べている。
この「演技」と「プロフェッショナル」との関係を説明するために、
「スタンフォード監獄実験」、「プラシーボ効果」、「組織社会化」、「ピグマリオン効果」、「予定調和」などのキーワードを用いて、丁寧に説明しているので、思わず納得してしまう。
また、会社にとっても、従業員に役割を演じてもらうために、仕事の目的を明確にしたストーリーを与えることが必要だという。
■「負ける技術」を身につける
成長しつづけるためには、様々な事に挑戦し、多くの失敗を乗り越える必要がある。そのために、「負ける技術」を身につけ、失敗を真摯に受け止め、失敗から学んでいくことが大事だ。
本書の中で、特に興味深かったのが、コンプレックスについて。
ユング心理学では、コンプレックスとは、無意識の領域にあって、自我が意識することが出来ないという特徴を持っており、その中核となすのが、
「自我の許容量を超えていたがために、無意識の領域に抑圧された経験」
「個人的無意識の中に内在しているが、未だに意識化されていない内容」だそうだ。
以下は、コンプレックスから自我を防衛するための典型的な反応である。
①同一視
他者と自分を無意識のうちに混同することにより、安定しようとする働き。
有名人や学者などが同じ学校の出身だというのも、一つの同一視の反応かもしれない。
②投影
自分のもっといる性質を、他人の性質として捉えること。自分では意識していない欠点や不足、自分が密かに抱いている表面には出せない不都合な感情を、相手のものとして捉えること。
実は自分も相手と同じようなことをしていながら、それは置いといて、相手を責める。
③反動形成
反動形成とは、抑圧された欲求と反対のものが強調されて、態度や行動として出てくること。
相手を好きだけど、何らかの理由でそれが抑圧され、好きになってはならないという縛りがあり、そのために、意地悪な行動に出たり、普通じゃないほど過度の無関心を装ったりする。
詳細は、「やさしいユング心理学 第三章 コンプレックスとの対決」を 参照。
こうした行動は、自分も他人もしていることがある。
意識化することで、対応できそうだ。
■感想
著者は、Bond-BBT MBAプログラムの統括責任者であるだけあって、一冊にMBAのエッセンスの多くが凝縮されており、読み応えがある。ただし、とても分かりやすく説明しているので、新入社員にもお勧めしたい。
本書を読むと、会社や社会の中で自分はどんな役を演じたいかを考えさせられる。
演じたい役と、実際に求められている役が一致した人は、よいパフォーマンスができるだろう。
以前、映画ターザンを演じた役者が、その役のイメージがつきすぎて、それ以外のオファーが来なくなったと聞いたことがある。
専門性の高い職業を選んだあまり、その後、転職においても、結局、今までと関連する職業についてしまう状況に似ている。
変化の激しい世の中では、ある日突然、その職がなくなったり、海外にアウトソースされたりすることがあるかもしれない。
そのためにも、多くの役を演じれる役者になる方がよいのではないか?
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