2015年11月9日月曜日

[書評] 投資家が「お金」よりも大切にしていること 藤野英人



目次 
第1章 日本人は、お金が大好きで、ハゲタカで、不真面目(8割の学生が「お金儲け=悪」日本人は世界一ケチな民族 ほか)
第2章 日本をダメにする「清貧の思想」(バットマンはなぜ「かっこいい」のか?日本のヒーローは…公務員 ほか)
第3章 人は、ただ生きているだけで価値がある(経済って、よくわからない…残業250時間の「ブラック企業」 ほか)
第4章 世の中に「虚業」なんてひとつもない(日本人は仕事も会社も同僚も、あまり好きではない「会社」とは何か? ほか)
第5章 あなたは、自分の人生をかけて社会に投資している、ひとりの「投資家」だ(投資は、「お金」ではなく「エネルギー」のやり取り
エネルギーの8要素 ほか)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
久しぶりに「お金」や「投資」について考えさせる素晴らしい本に出会ったので、ここでシェアしたいと思います。

  • 日本人は、お金が大好きで、ハゲタカで、不真面目

 日本の学生が8割がお金儲けに対して悪いイメージをもっている。だが、こうしたネガティブなイメージは、お金への執着心の裏返しであるとして、著者は日本人のお金に対する考え方を批判している。
 実際、日本の現金、預金の比率は、55.5%を占め、他国(米国は15.3%、イギリスは32.2%、ドイツは39.4%、フランスは31.3%)に比べて、著しく高い。
 また、年間の成人1人あたりの寄付金額は、米国が13万円、イギリスが4万円なのに対し、日本はたったの2500円である。
 また、海外では、投資信託を20年から30年くらいのスパンで持つのが一般的ですが、日本人の平均保有年数はたったの2.4年。つまり日本人こそ自分の利益のことしか考えていないハゲタカであるして痛烈に非難している。

  • 経済は「互恵関係」
 私達は産まれたときから消費活動を通じて、経済を動かす主体であり、我々の消費活動は必ず誰かの生産活動につながっている。良い消費者になることは、良い社会を創ることにつながる。だからこそ、自分のお金の使い方に自覚的になり、店員に威圧的な態度を取ることなく、良いサービスに対して「ありがとう」といえる人になることが必要だという。

  • 会社とは何か?
 株式会社の会社は英語でCompanyといい、この言葉の元々の意味は「仲間」であり、「株式」はshare、すなわち「分け与えること」を意味する。故に、株式会社とは、本来、互いに助け合いながら、自分の能力を発揮できる場所のはずだ。
 しかし、日本人の多くは、日本人は、他国に比べ、仕事も会社も同僚もあまり好きでないという。
 会社は多様な人間の集団であるので、良い面もあれば、悪い面もあるが、著者によれば、日本には全体として不真面目な会社が多いらしい。つまり、社会との関わり方、顧客との向き合い方、従業員との関わり方を真剣に考えている会社が少ないという。
 一方、良い会社の例として、

  1. インドのインフォシス(「私の成功とは、長期的な人間関係を築いて、人に奉仕することだ」)
  2. ZOZOTOWNを運営するスタートトゥデイ(社是はかっこいいこと)
  3. サイバーエージェント(社長とはお客様の代理人である)

が挙げられている。
  • あなたは、自分の人生をかけて社会に投資している、ひとりの「投資家」だ

「投資とは、いまこの瞬間にエネルギーを投入して、未来からのお返しをいただくこと」
「エネルギー」=情熱×行動×時間×回数×知恵×体力×お金×運
「未来からのお返し」=プロダクト(モノやサービス)×感謝×成長×経験×お金

最大のお返しは「明るい未来」である。

■感想
 中国人の友人が、「本当に日本人は「お金」の話をしない。それどころか、むしろ隠したがる人が多い」と言っていた。彼は現在、典型的な日本大企業に勤務しているが、会社の上司に、「将来、中国大連で一番の金持ちになりたい」と話したら、「清貧の思想」に基づき説教をされたみたいだ。また、最近、自分の周囲でも、「会社を辞めたい」、「転職したい」という人が多いなと感じる。特に日本の「大企業」が急激に魅力を失っているんだなという感じがする。

 本書を読んで、「清貧の思想」が日本をダメにしており、これからはみんなが清らかで豊かになることを目指すように「お金」についてもう一度考えなおすべきだと感じた。
 
 個人的にも、もっと自覚的に消費を行いたいと思う。サラリーマンのときは、毎月決まった給料を手にできるので、けっこう無駄遣いや衝動買いをしていたと思う。今は個人事業主となって、確定申告も必要であるので自覚的に消費を行えるようになってきた。自分が応援したい会社の製品を購入し、新しいことに挑戦している会社に投資したい。自分自身が明るい社会を創る主体であることを自覚したいと思う。
 
 現在、特許翻訳者として生計をたてている自分は、エネルギーを特許翻訳という業務に投資していると言える。
 この仕事の「未来からのお返し」は何か?
 
  1.  翻訳業を通じて英語を学ぶことで、将来的にも日本と海外の間で働く機会を得られる。
  2.  特許文献を通じてテクノロジーを身につけられる。
  3.  個人事業者として、自由に能動的に働くスキルを身につけられる。
  4. 顧客からの感謝やフィードバックを受けられる。

 
 将来、人工知能が発展し、翻訳業務はコンピュータに置き換わってしまうかもしれない。その前に、この業務を通じて成長し変化に対応できるようになりたい。
 
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