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2017年12月6日水曜日

2017年下半期に観てよかった映画

12月に入り、今年ももうすぐ年末に近づいてきましたね。仕事のほうはいたって順調ですが、処理速度の向上、スケジュール管理など、すこし余裕がでてきたので、下半期は、北海道、上海、沖縄と立て続けに旅行していました。そのため、普段よりも映画を観る時間が少なかったですが、その中でも特に面白かった作品を紹介します。
  • セールスマン
<感想>
トランプ政権に抗議して、本年度米アカデミー賞授賞式をボイコットしたアスガー・ファルハディ監督によるイラン映画。第89回アカデミー賞外国語映画賞を受賞した話題作。登場人物の心理描写も脚本も素晴らしく、この監督のファンになりました。特にエンディングに至るまでの展開は、映画「セッション」を思い出すような、ハラハラと手に汗握りました。下半期で一番面白かった映画です。

<あらすじ>

共に小さな劇団に所属する夫婦(シャハブ・ホセイニ、タラネ・アリドゥスティ)は、ちょうど劇作家アーサー・ミラーの戯曲「セールスマンの死」の舞台に出演していた。教師として教壇にも立つ夫が家を空けた隙に、転居したばかりの家で妻が何者かに乱暴されてしまう。その日を境に二人の生活は一変し……。       シネマトゥデイ (外部リンク)







  • ありがとうトニエルドマン

<あらすじ>
正反対の性格の父娘が織り成す交流をユーモラスに描き、ドイツで大ヒットを記録したヒューマンドラマ。陽気で悪ふざけが大好きなドイツ人男性ヴィンフリートは、ルーマニアで暮らす娘イネスとの関係に悩んでいた。コンサルタント会社で働くイネスは、たまに会っても仕事の電話ばかりしていて、ろくに会話もできないのだ。そこでヴィンフリートは、ブカレストまでイネスに会いに行くことに。イネスはヴィンフリートの突然の訪問に戸惑いながらも何とか数日間一緒に過ごし、ヴィンフリートはドイツへ帰っていく。ところが、今度は「トニ・エルドマン」という別人のふりをしたヴィンフリートがイネスの前に現われて……。監督・脚本は「恋愛社会学のススメ」のマーレン・アーデ。第69回カンヌ国際映画祭で国際批評家連盟賞を受賞するなど、世界各地の映画祭で高く評価された。
<感想>
ドイツのコメディーが、あまりにも想定外でド肝を抜かれましたが、これほど多くの賞を受賞したのは、父親と娘との難しい関係性が普遍的なテーマとしてあるからだと思います。キャリア・出世に邁進する娘に、音楽教師だった父親がホイットニー・ヒューストンの「The Greatest Love of All」を通じて不器用にも想いを伝えようとするシーンが、感動的でした。



  • ゲットアウト

<あらすじ>
ニューヨークで写真家として活動している黒人のクリス(ダニエル・カルーヤ)は、週末に恋人の白人女性ローズ(アリソン・ウィリアムズ)の実家に招かれる。歓待を受けるが、黒人の使用人がいることに違和感を覚え、さらに庭を走り去る管理人や窓に映った自分を凝視する家政婦に驚かされる。翌日、パーティーに出席した彼は白人ばかりの中で一人の黒人を見つける。古風な格好をした彼を撮影すると、相手は鼻血を出しながら、すさまじい勢いでクリスに詰め寄り……。

<感想>
あまりホラー映画は見るほうではありませんが、今まで見た経験からいえば一般的にホラー映画は過剰に怖がらせる演出が多いので、ストーリーが入ってこない作品が多いように思います。しかし、本作はストーリーがしっかりしていて、恐怖を煽るような過剰な演出は少なかったです。ただし、登場人物の演技力により、不気味さを訴求させる点が非常に面白い。ホラー映画というより、新しいジャンルの不気味(wired)映画という感じで斬新でした。


  • ゆきゆきて、神軍

<内容>
 神戸市で妻とバッテリー商を営む奥崎謙三は、たったひとりの「神軍平等兵」として、 神軍の旗たなびくトヨタ・マーク2に乗り、今日も日本列島を疾駆する。そんな中、かつての所属部隊・独立工兵隊第36連隊のうち、ウェワク残留隊で隊長による部下射殺事件があったことを知り、奥崎は遺族とともに真相究明に乗りだした。なぜ、終戦後23日もたってから、二人の兵士は処刑されねばならなかったのか。執拗ともいえる奥崎の追求のもと、生き残った元兵士達の口から戦後36年にして はじめて、驚くべき事件の真実と戦争の実態が明かされる。

<感想>
茂木健一郎氏、江頭2:50氏などの著名人が絶賛していた、1987年公開のドキュメンタリー映画。今年、アップリンクで公開30年記念上映が行われ、連日大盛況。

「ボウリング・フォー・コロンバイン」や「華氏911」などのドキュメンタリー作品を手がけた、アメリカのマイケル・ムーア監督が本作を「生涯観た映画の中でも最高のドキュメンタリーだ」と語ったという。このことからアメリカでも戦争の真実を迫ることがダブーなのだろう。

本作には、残念ながら、奥崎がパプアニューギニアに行った映像は、インドシア政府に没収されたため、収められていないが、このあたりは、本作と併せて「ドキュメントゆきゆきて、神軍 (現代教養文庫)」を読むと、詳細を知ることができ、興味深い。

「過去に目を閉ざすものは現在にも盲目になってしまう」という。本作は悲惨な過去に目を向けることで、今を見つめる作品である。






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2017年6月2日金曜日

2017年上半期に観てよかった映画


この上半期は、「当たり」の映画が多かったように思います。いつものように、自己採点で80点以上を記録した映画を紹介します。

  • LION ライオン 25年目のただいま
上半期で一番感動した作品。インドに行ったことがある人や、映画「スラムドッグ・ミリオネア」が好きな人なら共感できると思います。タイトルからして、ライオンに育てられたインドの少年かなと思っていたら、ライオンは、まったく出てきませんでした。少年役のインド人が可愛らしい演技は強烈に印象に残りましたが、ニコール・キッドマンが出演していたのには全く気づきませんでした(若い頃のクールビューティがなくなっていたので)。映画の最後に、実際の人物の写真も登場して、「本当に実話なんだ」と余韻に浸ってしまいました。
  • あらすじ
インドで迷子になった5歳の少年が、25年後にGoogle Earthで故郷を探し出したという実話を、「スラムドッグ$ミリオネア」のデブ・パテル、「キャロル」のルーニー・マーラ、ニコール・キッドマンら豪華キャスト共演で映画化したヒューマンドラマ。1986年、インドのスラム街で暮らす5歳の少年サルーは、兄と仕事を探しにでかけた先で停車中の電車で眠り込んでしまい、家から遠く離れた大都市カルカッタ(コルカタ)まで来てしまう。そのまま迷子になったサルーは、やがて養子に出されオーストラリアで成長。25年後、友人のひとりから、Google Earthなら地球上のどこへでも行くことができると教えられたサルーは、おぼろげな記憶とGoogle Earthを頼りに、本当の母や兄が暮らす故郷を探しはじめる。


  • パッセンジャー(原題:PASSENGERS)
宇宙を舞台にした映画は、先が読めない面白さがあります。宇宙版タイタニックと呼ばれるだけあり、ロマンチックな作品です。こんなに登場人物が少ないハリウッド映画は今まで観たことがない。その分、女優ジェニファー・ローレンスの演技力や存在感が際立ってます。

あらすじ
近未来、5,000人を乗せた豪華宇宙船アヴァロン号が、人々の移住地に向かうべく地球を出発。到着までの120年、冬眠装置で眠る乗客のうちエンジニアのジム(クリス・プラット)と作家のオーロラ(ジェニファー・ローレンス)だけが、予定より90年も早く目覚めてしまう。絶望的な状況を打破しようとする二人は、次第に思いを寄せ合うものの、予期せぬ困難が立ちはだかり……。シネマトゥデイ



  • WE ARE X
Xのドキュメンタリ映画、昔からのファンでなくとも、これを観たらファンになってしまうこと間違い無し。本作が、英国や米国など世界中でセンセーションを巻き起こしていることも頷けます。Yoshikiの音楽にかける情熱、飽くなき探究心がよくわかります。

あらすじ
「紅」「Forever love」など数多くの名曲を世に放ち、世界的なロックバンドとなった、X JAPAN。世界への挑戦、メンバーの脱退やバンドの解散、HIDEとTAIJIの死、そしてToshlの洗脳騒動など、X JAPAN には多くの悲劇が降り掛かった。その後、2007年に再結成を遂げて以降、精力的な活動を行い、2014年にはアメリカのマディソン・スクエア・ガーデンでの公演を成功させる。その公演の様子や舞台裏を追い、バンドの歴史や音楽性についてメンバーや関係者が語る。シネマトゥデイ

・「WE ARE X」オリジナル・サウンドトラック


2016年10月17日月曜日

2016年に観てよかった映画

今年も、シンゴジラ、君の名は。など話題作を含め、様々なジャンルの映画を見ました。その中から厳選した素晴らしかった映画を紹介します。

■オマールの壁
今年観てよかったナンバーワンの、パレスチナを舞台にした映画。

[あらすじ] ひたむきに仕事をこなすパン職人でありながら、仲間たちと一緒に反イスラエルの闘士として活動するパレスチナ人青年オマール(アダム・バクリ)。彼は監視塔から撃ち込まれる銃弾を回避しつつ分離壁を乗り越え、恋人ナディア(リーム・リューバニ)のもとに通う日々を送っていた。そんな中、彼はイスラエル兵士を殺害したとして拘束されてしまう。イスラエル軍から壮絶な拷問を受けたオマールは、解放を条件にスパイになるように迫られる。幼なじみでもある仲間との絆を壊され、ナディアとの仲も引き裂かれたオマールは……。(シネマトゥデイ)
ストーリーも演技も素晴らしかった。当初は分離壁を力強く登りきっていたオマールが、捜査官の巧みな策略により、仲間たちを信じられなくなり、分離壁を登れなくなっていく様子が印象的でした。


■人間の値打ち
イタリア・アカデミー賞で7冠に輝いたイタリア映画。イタリアのミラノ郊外にあるコモを舞台にしたということで、映画の中で懐かしい風景を見たいと思い、見に行きました。登場人物たちのそれぞれの視点から、4つの章で組み立てられたストーリー展開は傑作でした。ジグソーパズルが出来上がっていくようなサスペンス映画です。

[あらすじ] ひき逃げ事件をめぐって交錯する2組の家族の運命をミステリー仕立てで描いた人間ドラマ。不動産業を営むディーノは、娘セレーナの恋人の父親である投資家ジョバンニと知り合い、自分も儲けを得ようと借金をしてジョバンニのファンドに投資する。そんな中、ジョバンニの家の近くでひき逃げ事件が発生し……。物語の顛末をディーノ、ジョバンニの妻カルラ、セレーナそれぞれの視点から描くことで、登場人物たちが抱える問題を徐々にあぶり出していく。(映画ドットコムより引用)
原作はHuman Capital by Stephen Amidon


■AMY エイミー
ロングラン上映されていたので、ついに観てきました。
2003年にデビューアルバムをリリースしたエイミー・ワインハウスは、他を圧倒する歌唱力と歌声で一躍トップスターの仲間入りをする。第50回グラミー賞では年間最優秀レコードをはじめ5部門で受賞するなど大成功を収めるが、2011年に27歳の若さでこの世を去る。華々しいキャリアの一方、スキャンダラスな私生活にもフォーカスされる機会の多かった彼女の知られざる真実を、これまでに公開されたことのない映像などで振り返る。

 最初から最後までまばたきを忘れてしまうほど映画に没入してしまいました。ドキュメンタリー映画ですが、脚本があるようなサクセスストーリーとその後の死に至る破滅の展開に圧倒されました。音楽が素晴らしいので、音響のよい環境で見るのをおすすめします。


・AMY エイミー(オリジナル・サウンドトラック)2016


■愛と青春の旅立ち
1982年の古い映画。アマゾンプライムで観ましたが、名作はさすがに面白いですね。
青年ザックが海軍士官学校に入学したのは、自らの暗い過去と決別して新しい人生を手にするためだった。そして過酷な訓練に苦しむ彼の前に、町工場で働く娘ポーラが現れる…。親友の死、挫折を乗り越えて生きる目的を掴む青年を、爽やかな恋と共に描いて大ヒットを記録した“青春映画不滅のバイブル”。
リチャード・ギア主演映画は、「プリティ・ウーマン」や「オータム・イン・ニューヨーク」など、ダンディーな大人の男性の役柄のものしか観たことがなかったので、軍人の役を熱演する若かりし頃の演技がとても新鮮でした。

・アマゾンプライム会員の方は以下より無料で鑑賞できます。


■番外:レジェンド 狂気の美学
別の映画を観るつもりでしたが、満席だったため、予備知識のないまま、この映画を鑑賞しました。
[あらすじ] 1960年代初頭のロンドン。双子のギャング、レジー・クレイとロン・クレイは暴力で街を支配し、有力者やセレブリティーとも親しく、権力をほしいままにしていた。やがてレジーはフランシス(エミリー・ブラウニング)と結婚し、ナイトクラブの経営に重点を置くようになる。しかし、組織内の争いやロニーの破滅的な行動により彼らの栄華に陰りが見え始める。(シネマトゥデイ) 
スピード感のある展開にも驚きましたが、観終わったあとに、双子のギャングの役をトム・ハーディが一人二役で演じ分けていたことを知り、驚きました。雰囲気もまったく違って、お互い言い争ったり、殴り合いの喧嘩をしていたので、別人かと思い観てきました。

・レジェンド 狂気の美学 コレクターズ・エディション [DVD]






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2016年5月25日水曜日

[映画]夕凪の街 桜の国


前回紹介した「昭和史」に続いて、太平洋戦争に関わる映画「夕凪の街 桜の国」を紹介します。

この映画は、原爆投下された広島を舞台に、被爆した家族が2世代にわたって、原爆症に悩まされる様子を描いています。

原爆が投下された直後の生々しく痛々しい部分はほとんど映像化しておらず、被爆した女性とその子供たちが原爆症を抱えながら、必死で生きていくシーンを中心に描いています。

原爆で被爆したものの、なんとか生き延びた女性を演じるのが、麻生久美子。原爆投下で妹、父親を亡くした過去を抱えながら、自分自身も原爆症に悩まされる女性を繊細な演技で表現しています。

そして、被爆したがなんとか生き延びた女性から産まれた娘を演じるのが、田中麗奈。戦争も原爆も過去のものとしながらも、母親を若くして亡くした原因(原爆症?)に向きあおうとする、明るく前向きな女性を多彩な表情で表現しています。

久しぶりに邦画を観ましたが、この女優二人の演技力は素晴らしいですね。

この映画の中で、個人的に最も印象に残ったセリフは、以下。
❝十年経ったけど、原爆を落とした人は、私を見て「やった!また一人殺せた」と、ちゃんと思うてくれとる。ひどいなぁ。てっきり私は、死なずにすんだ人かと思ってたのに。❞
このセリフを聴いたとき、原爆を投下した人への怒りと罪のない人たちが犠牲になったことに対する悲しさが入り混じったなんとも言えない気持ちになりました。

同名の漫画が、第8回文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞および第9回手塚治虫文化賞新生賞を受賞しただけあって、過去と現在を行き来するストーリもよかったです。難しいテーマを扱った映画ですが、後味は悪くなかったですね。特に女性におすすめの映画です。









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2016年2月15日月曜日

おすすめの映画

ここ数年、英語の勉強も兼ねて、映画を観るようにしています。HuluやAmazonプライム・ビデオでもよく観ますが、映画館にもよく行きます。いちおう観た映画は評価していて、その中で五つ星をつけた、特におすすめの映画を紹介します。


  • はじまりのうた BEGIN AGAIN
キーラ・ナイトレイ演じる女性シンガーソングライターが、ミュージシャンの恋人の浮気が原因で失恋してしまう。友人が彼女を励まそうとライブバーに連れていき、無理やり彼女をステージに上げて、歌を歌うこととなる。偶然居合わせた音楽プロデューサーの目に留まり、デビュー・アルバムの作製に取り掛かるという話。マーク・ラファロが演じるこの音楽プロデューサーも、自分が設立した会社をクビになり、彼女とともに再出発(BEGIN AGAIN)する。とにかく爽快な映画で、特に女性におすすめですね。素敵な音楽が流れるので、いい音響で観賞するといいと思います。

  • セッション
19歳のジャズドラマーが、アメリカ最高の音楽学校に入学し、最高の指揮者のもとで、バンドメンバーとして指導を受けるという、普通の吹奏楽の映画かと思いきや、徐々に想像を超える展開に。彼が、この指導官の限度を越えるスパルタ指導に徐々に反発していき、ついには狂気的なラストを迎えます。それなりの映画通でも、こんな映画観たことないと思います。

  • ゼロ・グラビティ 3D
 それまでは、あまり3D映画が好きではなかったが、この映画で、まるで宇宙に放り出されるような臨場感を味わうことが出来、好きになりました。宇宙旅行は高額でまだまだ行けませんが、この映画なら、チケット代(3Dメガネ代を含む)だけで宇宙を体験できるので、安すぎですね。

  • インターステラー
これも3Dで観た宇宙映画ですが、映像だけでなく、ストーリーも素晴らしいです。地球の時間と宇宙の時間とで進み方が違うところが一番の肝。宇宙に行った宇宙飛行士の父親と地球で待っているその娘が同じ年齢になってしまう。感動的なストーリーで、おすすめです。


  • きっと、うまくいく
 インド映画歴代最大の興行収入を得た作品。「インド映画ってミュージカルばっかりで感情移入できない」と思っていた自分でも、ものすごく楽しめました。インド工科大学の寮を舞台に、若者の自殺というシリアスな社会問題をテーマにした、笑いあり、涙あり、かつとても深い映画です。インド工科大学は、入試倍率が50倍以上(ハーバード大学が11倍)の世界一難関大学の一つだそうです。この映画は、Amazonプライム会員の方は、無料で観れます。

『はじまりのうた』以降、20本以上の映画を観ましたが、未だ五つ星を付けた映画はありません。期待していた宇宙映画『オデッセイ』も残念ながら四つ星止まりでした。

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2014年12月1日月曜日

[映画批評]オオカミは嘘をつく

江頭2:50のピーピーピーするぞ!のエィガ一刀両断のコーナーで紹介されていた、映画「オオカミは嘘をつく」を鑑賞してきました。
 本作品は、クエンティン・タランティーノが「本年度ナンバーワンだ」と絶賛したことで注目を浴びた、イスラエル発のサスペンス映画です。

 江頭さんの映画批評は、映画会社からのバイアスは一切かかっていないだろうと思われるほど、時に非常に辛口で、信ぴょう性があり、また、彼のストーリーテラーとしての能力は秀逸で、実際映画を観ているように引き込まれるので、楽しみにしています。

 その中で、本作品は、ストーリーが非常に面白そうだと思ったので、実際に観に行ってきました。あらすじは以下のとおりです。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
イスラエルのとある森で、少女がむごたらしく暴行された果てに殺される事件が起きる。その容疑者として浮かび上がったのは、中学校で宗教学を教えているドロール(ロテム・ケイナン)。刑事のミッキ(リオル・アシュケナージ)が責任者として彼の尋問にあたるものの、証拠がなく釈放されてしまう。さらに行き過ぎた取り調べが何者かによって録画され、動画サイトにアップされてしまったことでミッキは交通課に異動になってしまう。しかし、ミッキはドロールが犯人だと思っていて……。
シネマトゥデイ
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

主要な登場人物は、中学校の先生である容疑者と、刑事と、被害者の父親です。この容疑者は、真面目で、気の弱そうな男として描かれ、お年寄りにも優しく、娘を持つ父親でもあります。
 この容疑者に対して、確かな証拠がないにもかかわらず、刑事と、被害者の父親は、罪を吐かせようと残忍な拷問を繰り返します。観ている人からすると、被害者の父親の方が悪者のような気がしてきます。

本作品のタイトル「オオカミは嘘をつく」が暗示するように、これらの登場人物のうち、誰が嘘を付いているのかということを推測しながら、鑑賞することになります。

ちなみに、江頭さんの映画批評では、「誰が嘘を付いているか」に対する映画のオチが若干がっかりする展開だったため、『「本年度ナンバーワンだ」と絶賛したタランティーノが嘘を付いている。彼は映画配給会社からお金をもらっているはずだ」というオチを付け、若干低めの評価(エィガポイント:7.5)をしていました。

 以上のように、江頭さんとタランティーノの評価が対立するため、どちらが正しいかを確かめるためにも観に行きました。

 前置きが長くなりましたが、本映画は、残酷で痛々しいシーンの連続でしたが、そのストーリーと、俳優陣の演技力は素晴らしく、非常に面白かったと思います(8.5ポイントくらい)。特に、いずれの登場人物も、完全に良い人、悪い人という形で描くのではなく、一見悪そうに見える人(被害者の父親)の人間味や可愛げな部分(携帯電話の着信音が可愛い)も同時に描き、またその逆もあって、人間の深みを表現している点はとても面白いと感じました。




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