2017年4月8日土曜日

成長速度にレバレッジをかける

特許翻訳者の中には、和訳だけ、あるいは、英訳だけしかやらない人が結構います。
理由はさまざまだと思いますが、長いキャリアをもつ方は、単価の高い英訳だけをやっている方が多いように思います。

私は、収益性よりも成長を優先しているため、できるだけ英訳と和訳を交互にバランスよくやるように心がけています。こうすることで、翻訳業務において、車の両輪のように加速的に成長できるように思います。日本の技術が先行している技術分野と、外国(主に米国)が先行している技術分野とでは異なるため、より幅広い様々な技術分野の知識を学べるという利点もあります。さらに、将来的に特許明細書を書く側の仕事に戻る可能性も捨てきれません。

ところで、最近のAI(人工知能)の発展は目覚ましいものがあり、予想より早く、翻訳業もなくなってしまうかもしれないなと思うことがあります(私はこの仕事が非常に好きなので、できれば長く続けたいと思っていますが)。翻訳者の中には、それでも、特許翻訳は残っていくと考えている方も多いですが、人工知能に関する書籍や動画を観ていると、例えば、人工知能で翻訳されたものをチェックするだけといった、かなり限定的な形でしかないかもしれないと思います。そうなると、今まで(翻訳もできる)弁理士や特許技術者が他の業務で忙しくてできなかったので、代わりに特許翻訳者が翻訳していた仕事(経済学でいう「比較優位」により発生していた仕事)は、弁理士や特許技術者が行っているかもしれません。

あるいは、ますますグローバル化が進展すると、日本企業の中にも、社内公用語として英語を採用し、日本語で出願することなく、最初から英語で出願していく可能性もあります。

最近は、忙しさに追われて、将来のことを考える余裕がありませんが、
「強い者、頭の良い者が生き残るのではない。変化するものが生き残るのだ」といったダーウィンの言葉は、頭の片隅に置いておきたいですね。


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2017年4月6日木曜日

多量の文書に対する耐性をつける

特許業界で長く働いていると、何度となく多量の文書に圧倒される場面に遭遇します。
私の経験では、例えば、特許事務所に入ったばかりに最初に明細書を作成したときや、知財部にいた頃、RCE(継続審査要求)を繰り返したオフィスアクションを途中から引き継いだときなどがあります。

翻訳業務をするようになってからも、相変わらず、圧倒されることがあります。
翻訳スクールを卒業後駆け出しの特許翻訳者が、はじめて仕事をする際も、こうした場面に遭遇すると思います。
それは、スクールでやる翻訳の分量が、実務で行う翻訳の分量と比べ、圧倒的に少ないからだと思います。
これは、遠泳大会に出場するため、普段、室内プールで練習していて、本番で初めて海を目を前にするようなものかもしれません。

私は、ある程度、多量の文書に対する耐性があるほうですが、あまり馴染みのない技術分野の案件で、かつ膨大な文書の翻訳を依頼された場合は、圧倒されることがあります。

ひとつに、翻訳者は、事務所の明細書作成者や、企業の知財担当者より、カバーしなければならない技術分野が幅広いからだと思います(もちろん例外もありますが)。結果的に、様々な技術分野の知識を(浅く)幅広く知っておく必要があります。

とにかく翻訳者としてデビューする前に、自分のベストの翻訳の品質を保持しながら、多量の文書(例えば、2万ワード)を翻訳する練習をする必要があるかもしれません。そして、自分の最高の品質を維持できるだけの処理量を把握し、スケジュール管理をできるようになる必要があると思います。

なぜなら、せっかく、トライアルに合格し、獲得したクライアントを失ってしまう恐れがあるからです。

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