2016年11月19日土曜日

[書評] How to Teach Quantum Physics to Your Dog


本書は、物理学の教授であるチャドが犬に量子物理学を教える本。好奇心が掻き立てられる内容で、翻訳書と合わせて読むと、とても勉強になりますね。

日本でも入門書として「犬でもわかる」「猿でもわかる」シリーズはよくありますが、難しい内容をわかりやすく伝えていることを意図し、読者の心理的障壁を取り除いているだけだと思います(あまりこうした本は読んだことないので正確には分かりませんが)。でも、本書では、実際に(英語が理解できる)犬と対話しながら、簡潔な英語でわかりやすく量子物理学を説明していく(当然、犬が理解できるわけはありませんが)。

元Google日本法人社長の村上憲朗さんは、教養として「量子力学」を学ぶことをライフワークにしているそうです。量子力学は、従来の常識とはかけ離れた世界で、究極的には哲学的問題に突き当たる。量子力学には、「一生を棒にふってもいいと思える」ほどの面白さがあるそうです。

ところで、"How to Teach Quantum Physics to Your Dog"という英語タイトル、「犬でもわかる~」とせずに、あくまでも「~犬への教え方」としているのは、訴訟社会アメリカならではなのでしょうか?電子レンジで猫をチンした事件で敗訴したメーカーが、多額の賠償金を支払った後、取扱説明書に「動物等を乾かす目的で使用しないでください」とあるのは有名な話ですが・・・。

  • 目次 

はじめに 犬に物理の話をするのはなぜ? 量子物理学のすすめ
1章 どっちへ行く? 両方へ行く 波動と粒子の二重性
2章 骨はどこ? ハイゼンベルクの不確定性原理
3章 シュレーディンガーの犬 コペンハーゲン解釈
4章 たくさんの世界、たくさんのおやつ 多世界解釈
5章 まだ着かないの? 量子ゼノン効果
6章 穴掘り無用 量子トンネル効果
7章 気味の悪い遠吠え 量子もつれ
8章 ウサギを転送してくれたまえ! 量子テレポーテーション
9章 チーズでできたウサギ 仮想粒子と量子電磁力学
10章 悪のリスにご用心 量子物理学の乱用
  •  How to Teach Quantum Physics to Your Dog




  • 犬でもわかる現代物理



  • 量子力学が語る世界像(村上憲朗さんがおすすめしていた入門書)



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2016年11月13日日曜日

[講演] 難民問題について考える

本日、JAR(Japan Association for Refugees:難民支援協会)が主催する「ちきりんと考えよう 日本が毎年1万人の難民を受け入れるには?」というセミナーに参加しました。

あまり馴染みのない問題でしたが、今後10年のうちに、日本が本格的に取り組まなければならない課題であることを認識しました。

2015年における先進国の難民受け入れ状況は、ドイツ約13.8万人、アメリカ約2.3万人、フランス約2.1万人に対して、日本はたったの27人、その認定率は、わずか0.6%しかありません。申請には多大な労力を必要とし、難民申請用の書類はダンボール1箱分ほどの量にのぼり、しかも日本語に翻訳して法務局に提出する必要があるそうです。

難民の受け入れについては、犯罪の増加や治安の悪化、住民との共存などにおいて不安な側面もありますが、上述した先進国との比較においても、今後は目を背けていられない問題と実感しました。

以前、発展途上国を旅していたころ、自分はたまたま日本に生まれただけで、裕福に旅ができることに感謝する一方でひょっとしたら自分も貧しい国に生まれ、同じように物乞いをしていたかもしれないな、と想像したことが幾度もありました。人は生まれる場所を選べないのです。難民の人たちも好き好んでそのような状況に陥ったわけではないのです。

このセミナーでは、「資金、仕事、コミュニティ」の3つの観点から、1万人を受け入れる環境をどのように整えていけばよいのかについて議論しました。さすがに150人も集まると、斬新なアイディアが出てきますね。それから、ちきりんさん、JARの広報の方のファシリテーションは素晴らしかった~。

詳しくは、ちきりんさんのブログへ。

少子高齢化社会が進む中、移民問題も含め、外国人労働者を受け入れる環境を整備していくことが今後ますます重要になってます。

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2016年11月8日火曜日

[書評] 感動する科学体験100~世界の不思議を楽しもう~

本書は、英国New Science社が科学関係者から人生で一度はやってみたい科学体験を100個集めた翻訳本。原書は"100 Things to Do Before You Die"というタイトルでベストセラーになり、New Science社から翻訳権を得た翻訳者が、日本向けにアレンジして出版したそうです。

『さんま・玉緒のお年玉!あんたの夢をかなえたろかSP』というテレビ番組で、普通の人たちが秘かに抱いている、具体的でユニークな夢を知るのも楽しいですが、本書にでてくる科学者たちの夢もとても興味をそそられました。その中で、自分もやってみたいと思ったものをピックアップしておきます。


  • ロケットの打ち上げを見る(種子島宇宙センター、内之浦宇宙空間観測所)

  • 『客家円楼(中国広州)』を訪問する

  • 土星の輪を見る

  • 水中ホタルの湾で泳ぐ(プエルトリコ、ヴィエケス島)
  • 世界最大の魚(ジンベエザメ)と泳ぐ

  • 粒子検知システムを訪問する(スイス、ジュネーブのCERN研究所
  • 祖先を訪れる(人類のはじまった場所タンザニア オルドヴァイ渓谷)

  • 古代美術に感動する(フランス、マス・ダジールの洞窟)

  • ホタルの木を見に行く(インドネシアのスマトラ島、パプアニューギニアの島々)



感動する科学体験100 ~世界の不思議を楽しもう~ (知りたい!サイエンス)


100 Things to Do Before You Die (Plus a Few to Do Afterwards)



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