2011年11月28日月曜日

[書評]座右の諭吉 才能より決断 齋藤 孝



どの国においても、お札には、国民的な英雄の肖像が記載される。
ネットで調べると、私が生まれた当初、1万円札には聖徳太子が採用されていたようだが、1984年からずっと福沢諭吉が採用され、長年目にしているはずだが、実は何をした人なのか、あまり知らない。
本書を読んで、彼の業績だけでなく、その人物像や人生訓も知る事ができ、日本の最高額のお札に記載されるにふさわしい人物であることが理解できた。

■目次
1 独立の章(精神はカラリとしたもの
喜怒色に顕わさず ほか)
2 修業の章(書生流の議論はしない
大事なのは「意味を解す」こと ほか)
3 出世の章(人生をデザインする
まず相場を知る ほか)
4 事業の章(なぜすぐにやらないのか
時節柄がエラかっただけ ほか)
5 処世の章(雑事を厭わず
大切なのは健康とお金 ほか)

■運動体の中心になる
福沢は、苦労人のようだ。九州の片田舎で、下級武士の末子として生まれ、幼くして父を亡くし養子に出されていた。しかし、学問に出会い、他に寄りかからない個としての人格を確立するため、一生涯にわたって学び続けた。自らが運動体の中心になって、アンテナを世界に伸ばし、新しい情報を取り入れ、日本の開国を支援した。

■活用なき学問は無学に等し
福沢は、机上の学問では意味がなく、どう活用するかを考えて学ぶ必要があると説いている。
これには共感する。本も読んだだけではすぐに忘れてしまう。本を読む事で、読んだ前と自分の行動が変わり、考え方が広がる。そうした本の読み方をしたいと思い、ブログを書くようにしている。

■人生をデザインする
彼は中津藩を脱出し、長崎、大阪、さらには江戸へと渡り歩いた。アメリカ、ヨーロッパにも渡り、変化を求めて脱出を繰り返している。
「川の流れに身をまかせ」るのではなく、自分の人生を自分で切り開いていく生き方に憧れてしまう。

■感想
福沢諭吉を知れば知るほど、大前研一氏に似ているなと感じる。
どちらも名著を残した作家、大学の創設者であり、マルチな経済人。
それらに加え、どちらも悩む事がなく、「精神がカラリと晴れた」、合理的な考えに徹した人物という点で共通しているように思う。

若い人たちは、スポーツ選手や歌手、俳優を憧れの対象としていることが多い。

しかし、時代が変化する時には、福沢諭吉や大前研一のように、旧態依然とした思想を突き壊し、学び続けていることこそがアイデンティティであるような啓蒙家が必要だと思う。
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