柴田元幸先生は、東京大学文学部の名誉教授であり、翻訳業界ではとても有名な方で、文芸翻訳になじみのない私でも、村上春樹さんとの共著「翻訳夜話」などで名前は存じておりました。
目からウロコが落ちる、面白い内容だったので、ここでシェアします。
- 翻訳はあくまで副業で、好きなものしか翻訳しない
- 主に電子辞書(特に信頼度の高いリーダーズ、ランダムハウス)を用いて、ノートに手書きで翻訳をしている
- Googleで表現をチェックしている
- 変な日本語が入ってこないように、テレビは持っていない
- 翻訳者は、読者の代表であり、作者の代弁者ではない
- 翻訳していて「分からない箇所」に突き当たったら、とりあえず訳して先に進む。後から内容の理解が進むと、「分からない箇所」も明確になるから
- 小説の翻訳では、「意味」よりも「快楽」を伝えることが重要
- 例えば、ダジャレは、笑いが等価になるように訳せばよい
- 小説の中での人称代名詞(私、僕、俺など)の決め方は、登場人物の関係性で決めることが多い
- 小説の翻訳では、一文の翻訳で正しく伝わらなくても、文章全体で内容が伝わればよい
- 英語では一文が長い場合、複数の文に分けて翻訳してもよい
- スラングは、Urban Dictionaryで調べている
- 賞味期限の短い流行のコトバは使わない
- 昔の英文小説では、「過去形」を使用したものが多かったが、現在は、「現在形」を使用することが多いのは、「先の見えない状況」を表すため
このような翻訳の講演会に参加するのは初めてでしたが、とても刺激を受けました。翻訳道も、非常に奥が深く、極めるのは長く険しい道のりだと感じました。
■翻訳教室 柴田元幸
■翻訳教室 柴田元幸
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