2016年9月2日金曜日
[書評] 科学は歴史をどう変えてきたか: その力・証拠・情熱
■目次
はじめに 淡いブルーの点
1 宇宙―そこには何があるのか
2 物質―世界は何でできているのか
3 生命―私たちはどうやってここまで来たか
4 エネルギー―無限のエネルギーを手に入れられるのか
5 人体―生命の神秘とは
6 脳―私たちとは
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本書は、BBCのドキュメンタリーと連携して作成された書籍であり、古代から現代に至るまで科学の歴史を、カラーの図表や写真を用いて分かりやすく説明しています。内容的にも難しすぎず、易しすぎず、中学生や高校生の教科書としても適していますが、幅広い分野の知識を得たい特許翻訳者にとっても役立つおすすめの一冊です。
通常の教科書と違って本書が面白かったのは偉大な科学者の性格にも触れている点。例えば、ニュートンは、「気難しく内向的な人間」であり、「木からリンゴが落ちるのを観て、その同じ力が月にも働いている」と思ったという有名な話は、ニュートン自身が晩年に作り上げた全くのフィクションであったようで、こうしたイヤミな一面にも触れています。科学者の人間的な部分を描くことで、科学に疎い一般の読者(視聴者)にも、感情移入しやすくなるようにされています。
また、本書では、主にヨーロッパにおける戦争や革命と、発明との関係にも言及されています。その発明がその当時、どのような意義を持ったかを知ることができます。
最後に、本書が素晴らしかったのが、翻訳のクオリティの高さです。翻訳書であることを感じさせないほど読みやすくなっています。翻訳者としても、こうした良質な科学文献を日本人に伝えるという意義のある作業に関われることはとても充実感があることだろうと感じます。
なお、BBCのドキュメンタリー番組は、"The Story Of Science"とネットで検索すると、見つかります。
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