2016年5月25日水曜日

[映画]夕凪の街 桜の国


前回紹介した「昭和史」に続いて、太平洋戦争に関わる映画「夕凪の街 桜の国」を紹介します。

この映画は、原爆投下された広島を舞台に、被爆した家族が2世代にわたって、原爆症に悩まされる様子を描いています。

原爆が投下された直後の生々しく痛々しい部分はほとんど映像化しておらず、被爆した女性とその子供たちが原爆症を抱えながら、必死で生きていくシーンを中心に描いています。

原爆で被爆したものの、なんとか生き延びた女性を演じるのが、麻生久美子。原爆投下で妹、父親を亡くした過去を抱えながら、自分自身も原爆症に悩まされる女性を繊細な演技で表現しています。

そして、被爆したがなんとか生き延びた女性から産まれた娘を演じるのが、田中麗奈。戦争も原爆も過去のものとしながらも、母親を若くして亡くした原因(原爆症?)に向きあおうとする、明るく前向きな女性を多彩な表情で表現しています。

久しぶりに邦画を観ましたが、この女優二人の演技力は素晴らしいですね。

この映画の中で、個人的に最も印象に残ったセリフは、以下。
❝十年経ったけど、原爆を落とした人は、私を見て「やった!また一人殺せた」と、ちゃんと思うてくれとる。ひどいなぁ。てっきり私は、死なずにすんだ人かと思ってたのに。❞
このセリフを聴いたとき、原爆を投下した人への怒りと罪のない人たちが犠牲になったことに対する悲しさが入り混じったなんとも言えない気持ちになりました。

同名の漫画が、第8回文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞および第9回手塚治虫文化賞新生賞を受賞しただけあって、過去と現在を行き来するストーリもよかったです。難しいテーマを扱った映画ですが、後味は悪くなかったですね。特に女性におすすめの映画です。









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